Warp機能でオーディオクオンタイズしてみよう

使い方ガイド

DJ  ちゃんリヴ
DJ ちゃんリヴ

ボーカルのタイミングがところどころずれちゃったんだよねー

もう一回撮り直ししないとだめ?

いくた
いくた

Ableton Liveには「Warp (ワープ)」機能があるからオーディオでもタイミング補正できるよ!

せっかくオーディオレコーディングしたものの、ところどころタイミングがずれてしまうことはよくあります。

Ableton Liveには「Warp」という機能があり、これによりオーディオであってもクオンタイズ(タイミング補正)ができるようになっています。

では、Warpを使ったオーディオクオンタイズの方法について見ていきます。

Warp機能とは

DJ  ちゃんリヴ
DJ ちゃんリヴ

で、「Warp」って何?

「Warp」というは、自動的にオーディオ素材のタイムストレッチが行われる機能です。

例えば下図のように、Warp機能が有効になっているとテンポ「100」の場合でも、テンポ「150」の場合でも同じ8小節の長さになっています。

タイムストレッチ

つまり、Ableton Liveで設定されたテンポに合わせてタイムストレッチが行われています。

いくた
いくた

ただ単にタイムストレッチするだけでなく、ピッチの変化(高くなったり低くなったり)や音声劣化も極力防いでくれます

一方、Warp機能が有効になっていないと、ループ素材の元々の長さ(演奏時間)が維持されるため、下図のようにテンポが変わると小節数も変わってしまいます。

ループ

Warp機能にはこういったオーディオ波形の伸縮が柔軟にできるため、オーディオのタイミング補正(クオンタイズ)もできるようになっています。

いくた
いくた

Warp機能はデフォルトで有効になっているので、特に設定は必要ありません

Acidizedファイル / Apple LoopsとWarpの違い

同じように自動的にタイムストレッチするオーディオ素材として、「Acidizedファイル(アシッダイズファイル)」や「Apple Loops(GarageBand・Logic Pro専用ファイル)」があります。

AcidizedファイルやApple Loopsにはテンポやキーの情報がファイルの中に含まれているので、他のDAW(CubaseやStudio One、Logic Proなど)でもDAWのテンポに合わせて自動的にタイムストレッチします。

ただ、他のDAWでAcidizedファイル / Apple Loops以外のオーディオファイルを使うと、自動的にタイムストレッチされませんので手動でタイムストレッチしないといけません。

一方Warpは、Acidizedファイルのようなキーの情報が組み込まれていないオーディオ素材であっても自動的にタイムストレッチされるようになっています。

Warpを使ったクオンタイズ

では実際にオーディオ素材をクオンタイズしていきましょう。

レコーディングしてみると、下図のようにジャストタイミングからハシっていたり、モタっている場合があります。

タイミング
※ハシっているところ
タイミング

※モタっているところ

ですので、クオンタイズをかけてジャストタイミングにしてみます。

まずはクオンタイズをかけたいオーディオクリップを選択して、オーディオ波形を表示しておきます。

オーディオクリップ
次へ

そして画面下のClipビュー(波形)上で右クリックをし、「クオンタイズ」をクリックします。

クオンタイズ
次へ

そうすると、自動的にクオンタイズされます。

クオンタイズ
クオンタイズをかけると音声が劣化している場合

クオンタイズをかけるとタイミングは合ったものの、ところどころ音声が劣化してしまっている場合があります。

そのような時は「Warpモード」を変えてみましょう。

WarpモードはClipビューで選択できるようになっています。

Warpモード
  • Beats:リズムやドラムループに最適なモード
  • Tones:ボーカルやベースラインなど、音の動きがはっきりしたものに最適なモード
  • Texture:和音になっているものやパッド系サウンド、ノイズなどに最適なモード
  • Re-Pitch:オーディオ素材のテンポを意図的に変えるモード。テンポに連動してピッチも変わる。
  • Complex / Complex Pro:上記のBeats・Tones・Textureを融合したモード。1曲全体のワープに最適。ただしCPU負荷が高い。
いくた
いくた

ボーカルなら「Tones」がおすすめですが、他のモードでも色々聴き比べてみてください

クオンタイズ後の微調整

クオンタイズはあくまでソフトがタイミングを判断しますので、下図のようにまだタイミングがずれている、あるいはクオンタイズをしたために逆にずれてしまうということが起こりえます。

クオンタイズ

こういった場合は後から手動でタイミングを補正する必要があります。

クオンタイズをかけると、クオンタイズの基となる「ワープマーカー」という目印が自動的に付けられます。

ワープマーカー
いくた
いくた

このワープマーカーの位置が基準になってクオンタイズされます

ワープマーカーは自分で作ることができますので、タイミングを変えたいところにワープマーカーを挿入します。

まずは再生ヘッドをタイミングを変えたいところに合わせて、グレーの帯のところをダブルクリックします。

ワープマーカー

そうすると、上図のようにワープマーカーが挿入されます。

いくた
いくた

できるだけタイミングを合わせるためにも、横軸を拡大し、グリッドをoffにしておきましょう

グリッド
次へ

次に、手動で挿入したワープマーカーをジャストタイミングに合わせれば良いのですが、ワープマーカーが付いているところは固定されて波形が動かないようになっています

そのため、関係のない(正確なタイミングからずれた)ワープマーカーはダブルクリックで消しておくようにしましょう。

ワープマーカー
次へ

そして手動で挿入したワープマーカーを動かしてジャストタイミングへドラッグして移動させます。

タイミング

クオンタイズ設定

MIDIのクオンタイズと同様、クオンタイズのかけ方が調整できるようになっています。

Clipビュー(波形)上で右クリックし、「クオンタイズ設定」を押します。

クオンタイズ
次へ

そうすると次のような画面が出てきます。

クオンタイズ設定

ではそれぞれ見ていきます。

「クオンタイズ」

クオンタイズ

「クオンタイズ」では、どのタイミングを基準としてクオンタイズするか指定できます。

「1/4」であれば、4分音符のタイミングに合うように補正されます。ワープマーカーも4分音符のタイミングで挿入されます。

ワープマーカー

「1/16」であれば、16分音符のタイミングに合うように補正されます。ワープマーカーも16分音符のタイミングで挿入されます。

ワープマーカー
いくた
いくた

数値を低くすると、あまり大きなタイミング変化はありません

「アマウント」

アマウント

アマウントでは、クオンタイズのかかり具合を調節することができます。

数値が高ければ高いほど、ワープマーカーがグリッド線に強く引き寄せられます。

あまりジャストタイミングに合いすぎると機械っぽさがどうしても出てしまいますので、こちらでかかり具合を調節しておくのがおすすめです。

いくた
いくた

若干ズレ感があった方が人間味があって自然に聴こえます